ハナさんのご主人は安らかに逝きました。
遺影は、子供や孫たちが祝ってくれた
金婚式の時の写真。
ハナさん夫婦の50年は大変でした。
満州から引き揚げ、
苦労して子供たちを育ててきました。
郵便配達員だったご主人は、
真面目を絵に描いたような人でした。
仕事一筋、雨の日も雪の日も
「この手紙を待っている人がいる!」と、
一日も休まず働きました。だから、
ハナさんとは旅行に出掛けたこともありませんでした。
結婚式もしていません。
そんなお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに
孫たちがサプライズで
結婚式をプレゼントしてくれたのです。
ウエディングドレスに身を包み
はしゃぐハナさんを見て、
ご主人は照れながら言ってくれたそうです。
「ありがとうな」
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